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鋼を超える強度?──BUMAX®ファスナーが拓く次世代の締結技術
エンジニアリングの世界では、最も小さな部品が全体の信頼性を左右することがあります。
その代表例が「ボルト・ナット」などの締結部品です。
長年、設計者は常に選択を迫られてきました。
すなわち――「強度を取るか、耐食性を取るか」。
炭素鋼は高強度だが錆びやすく、ステンレス鋼は錆びにくいが強度に限界がある。
このトレードオフが、過剰設計や高コストなメンテナンス、さらには腐食による早期破損を招いてきました。
しかし、この常識がいま、スウェーデン発の高性能ファスナー「BUMAX®」によって覆されようとしています。
BUMAX®は、ステンレス鋼の可能性を根本から再設計し、炭素鋼並みの強度と卓越した耐食性を両立させた、次世代の締結ソリューションです。
■ 加工硬化で実現する高強度 ― 「強いステンレス」の新常識
一般的に、ステンレス鋼は炭素鋼ほど強くできないと考えられています。
しかしBUMAX®は、この常識を打ち破りました。
高純度のヨーロッパ製316Lステンレスを素材とし、独自の冷間加工と転造ねじ形成技術によって、金属内部の粒子構造を緻密に再構成。
切削加工のように金属組織を断ち切ることなく、結晶粒をねじ形状に沿って流すことで、素材本来の強度を引き出しています。
その結果、BUMAX®は以下のように炭素鋼ボルトと同等、あるいはそれ以上の性能を示します。
グレード | 引張強度 (Rₘ) | 0.2%耐力 (Rₚ₀.₂) | 相当強度クラス |
---|---|---|---|
BUMAX® 88 | ≥800 MPa | ≥640 MPa | 8.8 クラス相当 |
BUMAX® 109 | ≥1000 MPa | ≥900 MPa | 10.9 クラス相当 |
つまり、従来よりも小径で軽量なボルトを使用しても、同等の締結力を確保可能。
これにより、軽量化・コスト削減・信頼性向上を同時に達成できます。
さらに、亜鉛めっき高強度ボルトで問題となるコーティング損傷や水素脆性のリスクも発生しません。
■ 完璧な不動態被膜 ― 優れた耐食性のメカニズム
ステンレス鋼が錆びにくい理由は、表面に形成される酸化クロム(Cr₂O₃)皮膜による自然な防護作用にあります。
BUMAX®はこの不動態皮膜の形成を最適化するため、素材の純度と表面仕上げを徹底的に管理しています。
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高純度素材:スウェーデン国内で精製された「極めてクリーンな316L」を採用し、不純物や非金属介在物を極限まで除去。これにより、点食の起点となる欠陥を最小化。
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高精度表面:転造加工による滑らかで緻密なねじ表面が、均一で強固な皮膜形成を促進。
この「完璧に近い不動態被膜」が、塩化物環境・酸性環境などの過酷な条件下でも優れた耐食性を発揮します。
たとえば沿岸の高湿度地域や、硫酸を含む鉱山プロセスなどでも長期的な性能維持が可能です。
さらに、BUMAX® Super Duplex (SDX) 109はPREN値40超を誇り、海水や化学プラントといった極限環境にも対応します。
■ 高温から極低温まで ― 幅広い温度域で信頼性を維持
ファスナー性能は、温度によって大きく変動します。
BUMAX®はオーステナイト結晶構造を持つため、−196℃の極低温から高温域まで安定した性能を維持します。
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極低温環境では炭素鋼が脆化するのに対し、BUMAX®は延性を保持し、LNG設備や宇宙開発機器などにも適用可能。
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高温環境では、BUMAX® Ultra、HE、HEPなどのグレードが高温強度とクリープ耐性を維持し、ターボチャージャーや炉、化学リアクターといった装置の締結部に適しています。
■ いま、素材の限界を超えるとき
「強度か、耐食性か」という二者択一の時代は終わりました。
BUMAX®は、より強く、より長く、より信頼できる設備を支えるための、新たな選択肢です。