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子年生まれの彼

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2019年2月22日
子年生まれの彼
昔は東西線で行ったんです

吊るされた歯ブラシと歯磨き粉
 

 私が小学校へ上がる頃の話ですから、今からざっと50年ほど前です。「トッポジージョの歯みがき出たよ」というテレビCMが放映されていました。ネズミの男の子が主人公のイタリア漫画のキャラクターを採用した子供向け商品で、イチゴやバナナの風味が歯みがき粉に練り込まれていて、それが欲しくて仕方ありませんでした。歯を磨いた後は、お菓子のように食べられると錯覚していたのです。

哀しいかな生家が貧乏で、そんな洒落た歯みがきは買ってもらえず、子供の舌には鋭く刺すようなハッカの味がする大人用の歯みがきで毎朝磨かされましたので、長い間歯みがきが嫌いでした。 

長じて大学生の頃、都心の東に大きな遊園地が建設されることになり、当時アルバイトをさせてもらっていた水道配管敷設工事の親方が、そちらの仕事を孫請けしました。 「東京なにがし」という遊園地の名前を聞いて、「あすこは千葉県ではないのかしらん?」というのが最初に頭に浮かんだことでした。その頃はまだ「テーマパーク」なる言葉はなく、単に遊園地と呼んでいて、「子供の行くところ」との印象だったのですが、同級生の友人が、その遊園地で「ゴミ拾いとして働くバイトに採用された」と興奮して話すのを聞いて、「それがなんで嬉しいのん?」と思ったりしました (正式には、カストーディアルキャストというそうです)

そこでの工事は、海賊を主題にした遊戯設備とそれに附設した飲食店の水道配管で、海賊船による海戦中、撃った砲弾が海面に着水して水しぶきが高く上がるように見せる仕組みの配管を設置しました。建屋の中は、妙な節まわしの海賊音頭が延々と流れており、ついにはそれが頭から離れなくなって、夢にも出てきて大いに閉口しました。 その頃はオープン前だったので、練習のためネズミの着ぐるみが園内を行ったり来たりしていました。「ここはトッポジージョの遊園地なんか…なんで今ごろ?」と不思議に思ったものです。実は恥ずかしながら、黒ネズミのキャラクターを知らなかったので、混同していた訳です。

メリーゴーランド

 ある日、飲食店の調理場に水道配管を追加することになり、親方が図面を見つつ壁からの距離を測って、「床のこの位置に何パイの穴を開けて配管を通せ」と私にダイヤモンドカッターを渡しました。言われるままにカッターを回し、床を掘りましたが、ある深さから一向に進まなくなったのです。何か固いものに当たっているようでした。 親方に状況を説明すると、「なまくら言ってねえで、もっと気合い入れてやれ〜」と発破をかけられ、一時間ほど掛かって、ようやく穴が開きました。 カッターから丸い棒状のコンクリを抜き取ると、その中ほどに何かの金属配管と、赤や青、緑や黄色のビニールに包まれた銅線がびっしり詰まった断面が見えました。

「ああ〜これに当たってカッターが進まなかったんやな」と思って、親方にコンクリ柱を見せたところ、親方の顔が急に引きつり、声を秘そめて「すぐに道具を片付けろ。急いでずらかるぞ」と慌てて遊園地を後にしました。翌日、親方に聞いたところでは、園内の電話回線か何かの配管だったらしく、断線して(当然のことですが)大騒ぎになったようです。電話回線の配管が、図面とはズレた位置に通っていたことが原因でしたので、こちらの責任とは言えず、幸いお小言で済みました。

この遊園地の遊戯設備は、すべて米国の図面を元に作られたので、それに使うねじはインチ寸法でした。当社はインチサイズの六角穴付ボルトを広く在庫していたので、くだんの遊園地にはたくさんお買い上げ頂いたそうです。 その後、私は当社へ入社し、赤い靴下野球チームの本拠地である米国都市へ輸出するLRT (路面電車)の日本国内製造に関連して、部品調達の仕事を担当し、大量のインチねじを輸入しました。

また、メガ銀行の名前と紛らわしい名称のテーマパークが関西に建設された際には、温暖化で世界が水没した後の地球を舞台にした映画のアトラクションに使う飛行艇の国内製造に、やはりインチねじが必要になり、それらを輸入する仕事にも携わりました。本場のアトラクションで使われている飛行艇を見るためハリウッドへ出かけたりもしましたね。 ねじを扱う仕事は普段は地味なのですが、たまにはこのように夢がある、後に形が残る仕事に関わることができます。



ねずみとねこ
 

 さて、築地から豊洲へ市場の移転に際しては、築地市場周辺の飲食店は、市場内に潜んでいるであろう大量のネズミが移転時に逃げ出し、周辺に出没して営業の妨げになるのではと、戦々恐々としていたそうです。

東京都も以前からその対策を講じていましたが、豊洲への移転後、実際にはネズミの姿はほぼ見られず、都は事前の対策が功を奏したとしていました。 薬剤頒布の成功なら、たくさんの「なきがら」が見つかる筈で、「一体どこへ行ってしまったんや?」と頭を巡らせていたある日、ふと気がついたのです。

都心の東には、彼らの夢の国がありましたね。そちらへ、みんなで移住したのでしょう。きっとウキウキしていたに違いありません。市場では嫌われキャラだった彼らも、夢の国では愛されキャラになれるのですから、誰だってそちらが良いに決まってます。 こんなこと言うと「遊園地」の関係者に、今度は大目玉をくらいますかね?

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