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電話という難物

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  2021年2月15日
 電話という難物
 アポ無し電話は失礼なの?

机の引き出し 記憶

 ハイファイセットが1977年にリリースしたアルバムでカバーした「雨のステイション」は、まだ荒井由実と名乗っていたユーミンが作詞作曲した名曲です。梅雨の雨がそぼ降る中、待ち人の姿が改札からあらわれるのを待つ女性の切ない気持ちを、山本潤子さんが穏やかに歌いあげる、ハイファイセットらしい楽曲だと思います。

移動体通信以前の時代、若者たちのほとんどは、まだ電話を持っていませんでした。連絡がつかない人と約束なしに会うためには、相手の最寄り駅の改札で待っていることが確実な方法だったのです。近ごろよく耳にするフレーズに「人とつながる」というのがありますが、昭和50年代はじめのあの頃、人とのつながりはいかにも儚いものでした。ささいな行き違いから生じた誤解を解くこともならず、それっきりになってしまうことも多かったのです。

電子メールというものを仕事で使うようになったのは、いつ頃でしょうか? 1996年か97年ぐらいだったように思います。とすれば、それからかれこれ25年、四半世紀が過ぎている訳ですね。「10年ひと昔」と言い習わすなら、もう大昔のことです。ちょうどその頃、携帯電話の普及も進んでおり、新幹線のデッキで携帯電話を片手に「今、新幹線の中、時間通りにそっちへ着く」などと通話しているビジネスマンを見かけたものでした。今から考えると、「そんなこと、わざわざ電話で伝えなくても」と思うようなことですが、当時は移動中に電話でそれを連絡できることに価値があったのですね。

携帯電話から携帯電話へ、あるいは固定電話への通話も定額制になった今日では、電話のコストに対する意識もずいぶんと変わりました。月額の支払総額は気になりますが、一通話にいくら掛かったのかは、ほとんど考えなくなったのではないでしょうか?予定通り新幹線に乗り込んだことは、今ならメールやショートメッセージで送れば十分です。相手が外出中でも、瞬時にそれが伝わります。当時は、自分が携帯電話で掛けていても相手が持っていないと、その人が固定電話の前に居なければ連絡がつかなかったのですから、今は便利になったというのか、昔は不便だったと言うべきか、まさに隔世の感がありますね (まぁ、その不自由さによる人とのすれ違いから、様々な物語が生まれ、それはそれでなかなか味がありました)

固定電話の料金は、今でも距離によって変わるのでしょうか? 今は、そんなことも分からなくなるぐらいです。あの頃、電話は話した時間と相手との距離による従量制でしたので、市外通話は高額でした。長距離電話なら、少し話してもビックリするような金額が掛かったものです。携帯電話の通話料は、長距離電話と同じぐらいでしたから、「時間通りにそっちへ着く」とひと言伝えるために、一体いくら掛かっていたのでしょうか? 今ならショートメッセージで、ほとんど無料と言える料金で伝えられると思えば、劇的なコスト削減効果です。

何年か後、携帯電話が広く使われるようになって、それに備わった位置情報をもとに、持ち主が今どこにいるかをFAXへ通知するサービスが始まりました。「カレどこ」アプリの先駆ですね。会社帰りに外で飲んでいたら、どこの店に居るかが家人に分かってしまう訳で、恐ろしい話です。携帯電話を持たされた営業マンは外回り中、会社からずっと監視されている状態になり、ノイローゼになる人もありました。

ある時、社内でデスクを並べている社員同士が電子メールでやりとりしているのを見て、「向かいや隣にいるなら、話せば済むのでは?」と驚きました。「言った、言わない」と後で問題にならないよう「記録」を残しているらしく、なるほどと納得した次第です。上司や目上の人から「聞いていない」と決めつけられるのを防止する効果は大きいでしょうね。 最近では、事前に断らずいきなり電話を掛けるのは失礼だと、若い世代の社員は感じるそうです。たしかに電話は、相手の時間に割り込むように一方的に掛かってくる訳で、「お構いなし」な行為には違いありません。

メールやショートメッセージが身近な今では、ちょっとした要件の伝達なら、それで済ませてしまうのが当たり前になりました。電話は本当に会話が必要な時に限られるようになったので、あらかじめ「電話を掛けても大丈夫?」と聞いて、相手の承諾を得てからダイヤルするようになったのですね。 相手の都合を重んじるアプローチで、良いことだと思います。別の面から考えると、取引先に訪問する際には、あらかじめアポを作ってから訪ねる訳で、電話もそれに準ずる行為に位置づけられるようになったのでしょう。

マインドセット 第二の人生

 今の仕事になって、しばしば外部から営業の電話が掛かってくるようになりました。人材紹介から電話回線の低額化、不動産や証券の購入など様々です。時には、海外からも営業の電話が掛かってくることもあります。こちらも営業あがりですから、相手にとってはそれが仕事だと思うのと、最近では電話口の相手が自分の子供のような世代の人だったりするので邪険にもできず、対応するようにしていますが、業務が立て込んでいる日に何本も掛かってくるとさすがに閉口します。 。

コロナウィルスの感染拡大をきっかけに、テレワークが広く取り入れられ、ウェブ通話の前には、必ずチャットで「今、話せる?」と訊くようになりました。自宅でのテレワークの時には、カメラを使わなくても、マイクに生活音が入りますので注意が必要です。イヤホンを付けますから、事前に訊いてもらえると助かりますね。 先日、自宅でウェブ会議に出席していたら、議事が白熱している最中に、家の前を軽トラがゆっくりと通り過ぎ、「さおやぁ〜 さおだけぇ〜♫」と間のぬけた節まわしが拡声器から流れ、マイクを通じてウェブ会議室に響わたりました。参加者が吹き出してしまい、会議が一時中断になりました。昭和の時代ならともかく令和の今日、一体どこに住んでいるのだと皆んなから思われたことでしょう。 。

今では街角で見つける方が難しくなった公衆電話、ポケベルも携帯電話もインターネットも無い時代には、公衆電話は外出時の重要な連絡手段でした。 ある時、営業先から私鉄沿線の最寄り駅へ直帰して、終業時間を30分ほど過ぎた頃、駅前の公衆電話から会社へ電話を掛け、「今、広尾です。今日は直帰します」と伝えたところ、踏切から警報がカンカンと鳴り出し遮断機が下りました。電話口の先輩女性に「広尾のどこに踏切があったかしら?」と問われ、あわてて電話を切りました。

当時、コレクトコールという通話料着信者払いのサービスが始まりました。ある日、都内へ営業に出ている同僚から、コレクトコールが社内に入り、電話に出た上司の顔がみるみる強張っていきました。着信者払いの電話では、電電公社の方が通話を中継し、発信者の居場所を受信者にまず伝え、通話を受諾するか確認する手順が最初にあります。。

電電公社の方から「浦安市の○○様からのコレクトコールです。お受けになりますか?」と尋ねられ、電話口の上司は応諾しました。自分の居場所が上司に伝わっていると知らず、同僚は「今!神谷町です〜♪」と軽やかに言いました。その後、彼に何が起きたのか....くわばらくわばら (あくまで同僚の話です。私のことではありません)

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