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母さん ぼくのあの帽子 どうなったんでせうね?

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  2020年10月15日
 母さん ぼくのあの帽子 どうなったんでせうね?
 加入権てなんですか?

黒電話

 「ファッション電話」と聞いても、今の若い方には意味がわからないかも知れませんね。

先ごろドコモをTOBで完全子会社化する決断をしたNTT、彼らがまだ「電電公社」と呼ばれていた頃には、「黒電話」なるものが家の玄関や居間に、まさに「鎮座まします」という風に置いてありました。

ハイティーンの子供たちに黒電話を見せたところ、ダイヤルの丸穴に書いてある数字を「押して」電話をかけると思った、という話を聞き、隔世の感がありました。

ファッション電話とは、いつごろでしょうか、たぶん1985年ごろだと思いますが、信号技術の進歩でパルス式からトーン式への移行が進められ、電話番号の入力がダイヤル式からプッシュ式へ変わるのと並行して、行革の一環で固定電話器の販売自由化があり、従来の黒電話に比べファッショナブルなデザインのプッシュ式電話器が、多くの家電メーカーから一斉に発売されました。それらを「ファッション電話」と総称したのです。

お洒落なテレビドラマの小道具としても重宝され、ずいぶん普及が加速しました。同じ電話器ということで例えるなら、ガラケーからスマホへの移行に似ていますが、ガラケーがメーカー毎に様々なデザインを競ったのに対し、スマホは「かまぼこ板」のように皆一緒なので、こちらはファッション性が後退した、という現象かも知れません。

先日、老父のガラケーが壊れたので、折りたたみ式ガラケーの形をしたスマホ、フィーチャーフォンなるものを購入しました。老父は通話以外には使わないので、スマホの機能は無用なのですが、通信インフラの電波信号がスマホ式でなければ使用できない環境になっているので、やむなく高いフィーチャーフォンを買わなければならない羽目になったのです。

有料老人ホームに入居している老父との連絡は、新型コロナウィルスの感染拡大により、面会ができず、携帯電話の通話だけになっています。メールやSMSを使えない老父から着信があった時にあいにく応答できず、こちらからの電話に老父が出られないと、行ったり来たりになり、肝心の用事は分からないままで、(昔の黒電話はそういうものだったのですが)なかなか悩ましい思いをします。

新しい技術による便利な機器についていけない老父を見て、「いずれ自分にも未来の最新鋭デバイスやネットワークの使い方が理解できない時が訪れる」と思ったりします。マイクロソフトのOfficeアプリケーションがバージョンアップする度、デザインやレイアウトが変わるとしばらくまごついてしまい、やがては操作方法が分からなくなる日が来るだろうと感じていました。一方で、黒電話を使うのに戸惑う若い世代を見ると、年齢に関わらず「使っていなければ分からない」とのシンプルな話かも知れません(そうであれば、少し安心するのですが) 

債権 塩漬け

 ところで、黒電話の時代、家庭に電話回線を引くのには「電話加入権」なるものを購入する必要がありました。一種の債権で金融性があり、個人間で売買したり、質入れしてお金を借りたりできたのです。国と公社は加入権による収入をもとに、国中にくまなく電話線を敷設し、通信網を広げる原資にした訳です。

今から50年前の昭和45年ごろ、加入権は7万円あまりしたと記憶しています。この年、国家公務員大卒甲種の初任給が3万6千円、高卒公務員の初任給が2万7千円で、大学の進学率はわずかに17%でした(平成20年代半ばは50%超) 当時、電話を持つためには、大卒新社会人ふた月分の給料が丸々かかったのです。加入権がいかに高額だったか分かりますよね。

この加入権、先ほどお話した通り、本来は債権なのでいつか償還される筈なのですが、いつの間にか、事実上無価値なものになり、なにやら「官の借金棒引き」のような状態になっています。

個人としてもそうなのですけれども、法人にも同じ状況があります。当時、企業もお金を払って、多くの電話回線を購入しました。それが、債権として帳簿に延々と記録されています。日本全国に250万あると云われている企業を含む各種法人が保有する電話債権の総額は、気の遠くなるような金額に違いありません。

現在では、新しいデジタル技術により、一回線で複数の通話利用が可能で、かつてのような数の電話回線を持つ必要がなくなりました。その結果、多くの回線が「預入れ」なる状態でNTT各社に保管され、完全に「塩漬け」になっています。

新しい首相は、携帯電話の料金引き下げに大変熱心な方のようですが、固定電話についても一度きちんと整理して、電話債権を償還して頂ければ誠に有難いのですが .... (え? 今年国民に10万円ずつ配ったでしょって? 企業には何年も前から法人減税したでしょって? これは大変失礼いたしました www)


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